Kanto Gakuin University Ori Akemi Seminar

Column織朱實が日々感じたことをつづっていきます。

北京駆け足訪問記(3)北京今昔その3 (05.09.19)

さて、いよいよ先月の北京訪問の印象を語れます(あ~、前ふりが長かった~)。13年ぶりの北京です。街には、大きなビルが建ち並びブランド商品も並ぶもの凄い大都市!NYなみです。
どこにいったのでしょう。壊れた信号機は?あの大量の自転車は?
自転車の替わりに大量の自動車が道路をぶんぶん走り回り、ファッション雑誌から抜けだしたようなばりっとしたスタイルの男女が闊歩する。飛び交う怒声と、人・人の流れは相変わらずだけど。
ものすごい勢いで、豊かになっていった街。
ところが、ちょっと大通りを離れると、子供連れや身体の不自由な人達が地べたに座り込んで、小銭をせがんでいる。少数民族の子供達が、観光客にまとわりついてくる。屋台の人達も、カメラを向けると怒声を浴びせてくる。13年前のおっとりした雰囲気はなくなっています。貧富の差が激しくなっていますよね。

今回の視察をアレンジしてくれた中国通の若いO先生に、
「13年前に比べると、豊かになっていますよね。」
「うーん、確かに表面上はね。でも、人は13年前より悪くなっていますね。地方から、食べれなくなった農民達が都市に流れ込んできているんですよ。豊かに見えますが、本当の豊かさではなく踊らされている感じですよね。」
私たちが普段接している日本にきている中国の人は、中国の中でもエリート中のエリート。都市部のエリートは豊かな生活を送っているけど、農村では、ぎりぎりの生活が普通とのこと。
「都市部でも、一般の人は一月3~4万円で生活していますよ。農村から流れた人だと、一月1万円くらいで暮らしていますね。でも、13億人がなんとか1日1食、食べていけているので暴動は起こらないのでしょうね。これが、3日食べられない状態になると、暴動になります。」
住居費は高めだけど、食費は安い!農村で食えなくなった人達が都市部に職を求めてやってきて、交通整理の職くらいしかみつからなくても、食費が安いのでなんとかぎりぎり生活ができる。

でも、みんなそれでもしたたかに生きています。
天安門広場では、大量のペット売りのお兄さん達が、誰からかまわずペットボトルを
売りつけている。
「なんで、あんなにペットボトルに入れた水売っている人がいるんですか?」
「あれはペットボトルを拾ってきて、自宅で水をつめて持ってきているんですよ。」
はあ~、公安のお兄さんにどやされて、蜘蛛の子を散らすようにいなくなっても、また、わらわらと戻ってくる。天安門広場の警備のおにいさん、おねえさんはみんな身長170cm以上、容姿端麗が条件とのこと。
「国家の顔ですからね、彼らは。」
で、屋台のおじさんを怒鳴りつけ、売り物を投げつけるようにして取っていく。
「ね!あれですよ。態度が横柄なのは、相変わらずですよ。ここには民主主義なんてないんですよ。」

ワールドサッカーで、ベッカムが宿泊したホテルの部屋がオークションにかかっていたとか。
最終的には、高校生が落札したそうですが。宿泊した状態で、掃除をしていないその部屋に泊まる権利(歯ブラシとか、トイレとか、ベッドとか、そのまんまの訳ですね)。
「高校生が?」
「一人っ子政策の影響で、親は子供の言うことはなんでも聞きますよ。4万円くらい出してしまう親はいるんですよ」というのが北京のガイドさんの言。
うーん、歯ブラシとかそのまま。えーっと、それはさすがに嫌かも~(この話は本当なのだろうか、ガイドさんは「本当ですよ」と言っていましたが。曲がりなりにも高級ホテルが、果たしてブローカーにそんな商売を許すのだろうか?)

ものすごい勢いで消費社会が形成されていく都市部に対して、農村では教育が受けられない子供達。「一人っ子政策」は都市部にしか徹底されていなくて、農村は子だくさん。都市部に流れてきても、戸籍が「農民」なので、都市部で教育も受けられない。中国では生まれた場所による「戸籍」がずっとついてまわってくる。
そこで、優秀な農村部の子供達の学費を捻出するために、子供を紹介するTV番組があるそうだ。
「大学までの費用を負担してあげるんです。まあ、都市の人間にとっては一種の投資ですね」
ところが、この農村にものすごいお金持ちの層がいるというこの不思議。お風呂は共同風呂、電気はとおってなんとか冷蔵庫は普及しているけど、TV・車はまだまだという状況なのに、土地を担保として資金を集めそれを運用している「農民」がいる(大学の近くの土地を持っている農民は学生用のアパートで運用益をあげているとのこと)。彼等が住むものすごい豪邸が建ち並ぶ「モデル農村地区」がいくつもある(おまけの小箱の写真を見てくださいね。モデル地区と典型的農村部の写真あげてあります)。
「農民というか、もう投資家ですよね。自分たちでは畑を耕さないし、石炭を買って売って儲けたり、IT産業であてたりと。でも、戸籍上農民だから、『農民』と呼ばれ続けるんですよ」

多数の少数民族、異なる言葉、異なる習慣、13億人が一つの国としてまとまるなんて
不可能に近い、というのが西安のガイドさんの言葉。
「13億人を食べさせるだけでも、凄いことだと思いませんか?」
はい。本当に..。貧富、新旧制度が入り交じって、13億人が生きていく。みんなが、少しでも豊かになりたいとあがいていく、そのエネルギーは本当に凄い。中国で、いろんな人の話を聞けば聞くほど、日本は「おっとりした国」だな、と実感させられます。
この国で、「環境問題」や「人道問題」を論じることは、「生き抜く」という重さの前では、机上の空論に過ぎないのではないか、と思わされますね。

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